株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

人工膝関節手術の進歩 【ポータブルナビゲーションは高精度,低侵襲で手術の簡便化に期待】

No.4783 (2015年12月26日発行) P.51

寺本篤史 (札幌医科大学整形外科講師)

山下敏彦 (札幌医科大学整形外科教授)

登録日: 2015-12-26

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

変形性関節症や関節リウマチに伴い,高度に変性した膝関節に対する人工関節手術は,除痛と機能回復について有効性が広く認められているが,耐用年数や満足度の低い症例の存在など,改善すべき課題が残存する。人工膝関節の良好な長期成績を得るためには,股関節,膝関節,足関節それぞれの中心で定められる下肢機能軸を指標とした正確な術後アライメントの獲得が目標とされる。
従来は骨軸をもとに骨切りとインプラントの設置が行われていたが,誤差が生じやすいことが問題であった。2000年代にはコンピュータナビゲーションシステムが導入され,下肢機能軸を指標に正確なアライメントを再現したインプラント設置が可能となったが,高価なコストや関節外部への侵襲などの問題があり,標準的手術とはならなかった。
近年は,加速度計,角速度計センサーを内蔵したポータブルナビゲーションが開発され,高精度でかつ低侵襲,簡便な手術が期待されている。また,患者独自の膝関節三次元モデルをCTやMRIをもとに作製し,同じ嵌合面を有する骨切り器械を同時作製して手術に用いるpatient-matched instrument(PMI)も,精度の高い骨切りとインプラント設置が報告されてきている。
新しい器械であるポータブルナビゲーションやPMIを用いた人工膝関節手術は,下肢機能軸を指標とした正確なアライメントの獲得に有効で,良好な短期臨床成績が欧米で報告されている。将来的には,耐用性を含めた長期臨床成績の検証が必要となるであろう。

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

長崎県五島中央病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 整形外科 1名
勤務地: 長崎県五島市

当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
共に五島で働きましょう。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top