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膿胸に対する開窓術と胸腔鏡手術 【胸腔鏡手術で在院期間が短縮】

No.4785 (2016年01月09日発行) P.48

遠藤俊輔 (自治医科大学呼吸器外科主任教授)

登録日: 2016-01-09

最終更新日: 2018-11-27

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結核性膿胸は減少したとはいえ,肺炎や胸部外科手術から続発した膿胸症例は依然として多く,的確に診断し治療することは,在院期間の短縮・加療後の日常生活の維持につながり,医療費の削減にもつながる。
膿胸はその原因が肺炎か術後か,病原菌が何か,また,膿胸腔の大きさ,発症時期,気管支瘻の有無など病態に応じて治療方法が大きく異なる疾患である(文献1)。治療法を誤ると慢性化し,死に至る。
最も代表的な肺炎に続発した急性期の膿胸では,早期に的確な胸腔ドレナージを行うだけで治癒させられる。しかし,診断が遅れ,ドレナージが十分にされないと膿胸は慢性化し,場合によっては気管支瘻も合併することがある。この場合,胸壁を切除し,膿胸腔を開放(開窓術)しなければならない。
開窓術は感染制御の面では優れた方法であるが,開窓部の処置,閉窓するための再手術を要する点から在院期間が長くなり,生活の質も低下する。このような症例は,全身状態が不良で,閉窓することなく死亡することもある。気胸に対して導入された胸腔鏡手術により,慢性化し隔壁化した膿胸でも,膿胸腔を確実に掻爬洗浄でき,開窓することなく治癒せしめ,在院期間を短縮できるようになった。
最も問題となっているのは,真菌や抗酸菌の日和見感染に伴う肺炎随伴性膿胸である。難治性で気管支瘻を合併しやすく,胸腔鏡はもちろん,開窓しても除菌できない症例である。

【文献】


1) 手塚憲志, 他:呼吸. 2011;30(3):230-6.

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