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てんかん薬物治療のこれから  【新薬の登場で選択肢が増え,より個別化医療の流れに沿うことができるようになった】

No.4799 (2016年04月16日発行) P.51

鶴澤礼実 (福岡大学筑紫病院小児科講師)

小川 厚 (福岡大学筑紫病院小児科教授)

登録日: 2016-04-16

最終更新日: 2016-10-26

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新規の抗てんかん薬として2006年にガバペンチンが発売されて以降,07年トピラマート,08年ラモトリギン,10年レベチラセタムと年々治療の選択肢が増えた。また希少疾病用医薬品としてドラベ症候群へのスチリペントール,レノックス・ガストー症候群へのルフィナミドも登場した。既存薬で難治だった症例への希望が見えたことに加えて,たとえば,主にバルプロ酸が用いられていた若年発症の特発性全般てんかんでは,特に女性で催奇形性への考慮からラモトリギンを使用するなど,新しい流れができた。
新規抗てんかん薬は比較的広い治療領域を持つ。たとえば,部分発作と強直間代発作を適応症としていたラモトリギンは15年9月より定型欠神発作が適応症として追加された。
東日本大震災では,てんかん患者の避難者で薬剤名がわからず供給に苦労したと聞くが,今後,広い治療対象幅を持つ新規抗てんかん薬が供給薬としての役割を持つかもしれない。筆者がてんかん専門医を取得したのは09年であり,専門領域での診療が増えた時期に新規抗てんかん薬が発売され,歴史のあるフェニトインやフェノバルビタールなどを使う機会は少なかった。しかし,このような既存薬でないとコントロールできない患者がいることは確かで,必要性を実感している。
抗てんかん薬が増えたことで,てんかん患者の症候群診断,発作分類に加えて,年齢,性別,生活環境などを考慮して,より個別的な医療が可能になったと同時に,より薬物の特性を考えた選択的な治療を考える姿勢が問われるであろう。

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