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僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁修復術 【わが国でもカテーテルを用いた経皮的僧帽弁修復術の治験が開始】

No.4803 (2016年05月14日発行) P.46

荒井隆秀 (慶應義塾大学循環器内科)

林田健太郎 (慶應義塾大学循環器内科専任講師)

福田恵一 (慶應義塾大学循環器内科教授)

登録日: 2016-05-14

最終更新日: 2016-10-26

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僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する治療としては,開胸による僧帽弁置換術および形成術がスタンダードであった。しかし,高齢者や肺疾患などの様々な併存疾患のために,開胸手術が困難な症例も少なからず存在した。Cleveland Clinic databaseの報告では,有症状の重症MR 1095例中,53%は手術が困難で,内服加療にて経過観察されており,その理由として,高齢や左室機能低下などが挙げられている(文献1)。このように手術を受けられない症例に対しては,利尿薬などの薬剤加療で経過観察するしかなかった。しかし,これは根本的治療ではないため,良好な予後も期待できなかった。
2001年になりAlfieriらにより,開胸によるedge-to-edge repairという手技が報告された。これは僧帽弁の前尖および後尖の中央を縫合してMRを減少させるというものである。この手技をさらに発展させ,開胸せずにカテーテルを用いて行うという,経皮的僧帽弁修復術が開発された。2004年からEVEREST trialという臨床試験が開始され,その安全性および有効性が徐々に報告されるようになった。現在では全世界で2万5000例以上に施行され,その施行数は飛躍的に増加している。
わが国においても,2015年9月より経皮的僧帽弁修復術の治験が開始され,数年以内に通常使用が可能になると思われる。これにより,今後,MRに対するアプローチが大きく変わる可能性があると思われる。

【文献】


1) Goel SS, et al:J Am Coll Cardiol. 2014;63(2):185-6.

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