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サンスクリーン剤による光老化対策 【適量を継続使用することで,光老化や日光角化症に効果】

No.4817 (2016年08月20日発行) P.56

国本佳代 (和歌山県立医科大学皮膚科)

古川福実 (和歌山県立医科大学皮膚科教授)

登録日: 2016-08-20

最終更新日: 2016-10-30

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光老化は慢性的な日光曝露によって緩徐に出現する皮膚の変性である。シワ,たるみ,乾燥,色素異常,毛細血管拡張などが主な所見であるが,脂漏性角化症のような良性腫瘍や有棘細胞癌の前癌病変である日光角化症などの悪性腫瘍もみられるようになる。
サンスクリーン剤の日常的な使用は,光老化予防や,日光角化症の発症予防に有効であることが示されている(文献1)が,これまで,ヒトにおけるサンスクリーン剤の光老化予防効果を検討した論文はスキンタイプⅠ~Ⅱの白色人種を対象としており,日本人については検討がなされていなかった。
筆者らは,高齢日本人の日光角化症患者に対し18カ月間,サンスクリーン剤(SPF30,PA+++)を露光部に塗布し,光老化,および日光角化症に対する効果を評価した。角層水分量に有意な改善がみられ,使用量が多い被験者ほど水分量の上昇やシミの改善抑制効果が高い傾向が認められた(文献2)。また,日光角化症に関しては,試験前後で日光角化症の個数に有意な増加はみられず,日光角化症の組織学的なgradeが改善している症例があるなど,症状の進展抑制効果がみられた(文献3)。つまり,日本人においてもサンスクリーン剤は光老化に対し有効であり,それには適切な量のサンスクリーン剤を継続して使用することが必要である。

【文献】


1) Thompson SC, et al:N Engl J Med. 1993;329(16):1147-51.
2) Mizuno M, et al:Clin Cosmet Investig Dermatol. 2016;9:95-105.
3) Kunimoto K, et al:Exp Dermatol. 2016. [in press]

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