「がん対策推進基本計画」(2012年第2期策定)では,基本的な緩和ケアについて,あらゆる医療従事者が修得し実践すること,患者の苦痛を評価し基本的な対処方法を実践すること,などが目標とされた(文献1)一方で,がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう在宅医療・介護サービス提供体制の構築をめざすこととしている。
家族や身近で暮らす知人など,生活を支える周りの人へのサポートも重要な要素と言える。切れ目のない緩和ケアや在宅医療の提供体制を考える上で,刻々と変化するニーズに対応するための仕組みづくりが求められる。2015年12月に「がん対策加速化プラン」が策定され,終末期の療養生活の質を向上させることが示されている(文献2)。
治療の導入期とは異なり,普段の生活や家族との関係の延長で療養やケアを組み立てていく上で,看取り期の家族や支援者向けの情報提供や,ケアを支える在宅医,訪問看護師,ケアマネジャーなどの医療介護福祉職とのコミュニケーションが重要である(文献3)。看取りのあとも,家族や周囲の人が悲嘆(グリーフ)と向き合い,自分らしい生活リズムを取り戻していくまでのプロセスを支えるグリーフケアの充実が求められる。一部の医療機関や遺族会などで取り組みが始まっている。
1) がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会:緩和ケア専門委員会報告書─今後の緩和ケアのあり方について. 2012.
2) 厚生労働省:がん対策加速化プラン. 2015.
3) 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクト:がんの在宅療養.
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