「笑うことで、ヒトの遺伝子の働きが変化する」という仮説を実証すべく、漫才を見た後の血糖値を測定する。その結果は……(村上和雄著、一二三書房、 2004年刊)
30年近く前、分子生物学的手法を用いた解析が脚光を浴び、その先駆的な研究として、レニン(アンジオテンシン産生系酵素)の全遺伝子暗号を村上和雄先生(筑波大学名誉教授)らが解読した。アンジオテンシン系の基礎研究に従事する私が、憧れの村上先生の執筆本を一般書籍で見つけたのは10年ほど前である。
タイトルも内容もユニークで、「笑い」が体に与える影響を吉本興業と共同研究した内容であった。糖尿病患者に大学の先生の講義と漫才を視聴してもらったところ、漫才のほうが食後血糖値を低下させたそうである。そのことを科学的に解析したものが、糖尿病領域の一流雑誌に掲載されたのである。この血糖値の差は「悪玉ストレス(講義)」または「善玉ストレス(笑い)」による様々な遺伝子の発現量が増減した結果であった。
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