【概要】日本専門医機構(吉村博邦理事長)は5日に理事会を開き、18基本領域学会の2017年度の実施プログラムについて確認した。既存プログラムが12学会、新プログラムが3学会、併用が3学会だった。新プログラムを用いる6学会の地域医療への配慮について、機構は問題ないと判断した。
日本専門医機構は先月、機構が運用する新専門医制度について、2018年度に総合診療を含む19基本領域が一斉スタートする方針を決定。当初の開始予定は17年度だったが、新制度に向けて作成された新プログラムを精査した結果、定員が約1万9000人で専攻医の人数の約2倍となり、大都市への専攻医の集中が懸念されることから1年先送りを決定した。
17年度の対応は各学会に一任されることとなったが、機構はできるだけ既存のプログラムを用いるよう要請。ただ、新プログラムを「暫定プログラム」という扱いにして実施することも容認し、新プログラムを用いる場合には大都市に専攻医が集中しないよう配慮を求めた。その結果、内科や外科など12学会が既存プログラム、小児科など3学会が新プログラム、救急科など3学会が両プログラムを併用すると回答した(表)。
新プログラムを用いる6学会に対して機構が地域医療への配慮を確認したところ、定員が昨年度実績の1.2倍程度に抑えられていたり、地域の医療機関が連携施設に含まれていたことなどから、「(大都市に専攻医が集中しない配慮が)数字上も対応上も担保された」(松原謙二副理事長)と判断した。各基本領域学会の専攻医の募集は9~10月の予定。
総合診療専門医については、17年度に総合診療専門研修を希望する医師に対して日本プライマリ・ケア連合学会の「家庭医療専門医」の研修を勧めることとなった。
研修医への影響について吉村理事長は「(17年度に専門医研修に進む)医師たちが将来不利にならないような措置を理事会で検討する」と強調した。
●サブスペやダブルボードの課題、9月中に方向性
このほか理事会では、吉村理事長が委員長を務める「基本問題検討委員会」の設置を決定した。ここでは、サブスペシャルティやダブルボード(基本領域の専門医を2つ取得すること)、総合診療専門医のあり方など、新専門医制度の制度設計に関する基本的な課題を議論する。吉村理事長は「基本問題検討委員会の議論は9月中に一定の方向性を出したい。ここでの結論を踏まえ、専門医の認定・更新や基本領域学会と理事会の業務分担、専攻医のデータベースのあり方など、他の委員会での検討を進めたい」との方針を示した。