厚生労働省が今夏発表した「在宅医療にかかる地域別データ集」の市町村別の自宅死の割合は、新聞各紙で取り上げられるなど注目を集めた。
データ集(数値のない市町村を除く)によると、単純集計で最高は54.8%(東京都神津島村)、最低は0.9%(福島県矢祭町)。人口別にみると、5〜20万人の自治体では最高が25.0%(兵庫県豊岡市)、最低が5.5%(愛知県蒲郡市)であり、人口20万人以上の自治体では最高が22.9%(神奈川県横須賀市)、最低が8.0%(鹿児島市)となっている(図1)。
しかし、愛知県在宅療養支援診療所連絡会代表の野田正治氏(瀬戸市・野田内科小児科医院)は、愛知県平均と愛知県瀬戸市・尾張旭市の在宅死亡率の変動が激しいことから「在宅医療の内容が1〜2年で変動するわけはありません」と指摘。「在宅死亡率の中には、死体検案、つまり異状死、孤独死とか孤立死で亡くなった方たちや、自殺された方(中略)も全て自宅での死亡に含まれますので、これらの孤独死・孤立死・自殺数が多い年は、当然、在宅死亡率が高いし、それが少なければ低くなります。在宅死亡率だけでは在宅医療の指標になり得ない」と説明している(茨城県医師会報. 2016, 755, p10)。
残り1,731文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する