日本医師会の鈴木邦彦常任理事(写真)は1日、韓国医療制度の視察結果を報告した。鈴木氏ら日医の調査団は11月3~5日、韓国の審査支払機関「健康保険審査評価院」(HIRA)、日本の厚生労働省に相当する「保健福祉部」、韓国医師会などを視察。鈴木氏は視察を振り返り、「韓国でも医療保険制度に関わる医師は混合診療に否定的な意見が多かった」と述べた。
韓国は1989年に社会保険方式による国民皆保険制度を達成したが、保険適用人口を短期間に増やそうとした結果、保険料、給付、診療報酬が低く抑制され、医師の収入を補塡する目的で混合診療が拡大。医療費の公的給付率は日本の81%(2000~09年度)に対し韓国は55%(同)にとどまる。
鈴木氏によると、視察中、健康福祉政策研究院院長を務める延世大の李奎植名誉教授は「混合診療が公立、民間を問わず医療の営利化を助長し、過剰診療を招いている」と指摘。
HIRAを設計したソウル大の金昌燁教授は、「根拠のない新技術を防ぐために、日本と同様に混合診療を禁止すべき」との見解を示した。HIRAの担当者は、「給付外部分の管理が核心課題。低保険料、低給付、低報酬の上に混合診療まで禁止すると、国民への医療提供に支障が出る」と話す一方で、「最近は、営利病院を決して認めない、という意見に重点を置いている」と説明したという。