昨年は「AYA世代のがん」という言葉が、多くのマスコミで取り上げられました。とはいえ、まだまだ知られていない言葉だと思います。AYAはAdolescent and Young Adult、つまり思春期若年成人の略です。
がんというと、高齢者の病気というイメージがありますが、小児・思春期若年成人のがんもあります。数が少ないため、政策など放置されていた領域です。小児がんに関しては、治療成績は向上し約7割が治癒する時代になりました。しかしAYA世代のがんに関しては、治療成績に大きな改善は見られず、小児がんよりも注目されていませんでした。
AYA世代のがん患者さんの中には、とても前向きで社会を変える動きをしている方も多いです。ブログを開始され70万人以上の読者を持つ小林麻央さん。がん患者によるがん患者のためのインタビュー番組「がんノート」をインターネット配信しているNPO法人がんノートの岸田 徹さん。がん患者や家族、医療者など、がんに関わる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも利用できる場所、「マギーズ東京」をつくられた鈴木美穂さん。
2006年にがん対策基本法が成立して10年が経ち、日本のがん患者を取り巻く環境は良くなったのでしょうか? 患者・家族が少しでも良くしようと様々な活動をされている姿を、この10年でたくさん見てきました。国はどうでしょう? 国のがん対策について、しっかりと評価をする時期にきていると思います。医学の進歩が、臨床の場に十分還元される社会になることを切望しています。私自身は、チャイルド・ケモ・ハウスの活動を通じて、今年も小児がん・AYA世代のがんの支援を続けていきたいと思います。