昨年4月1日、学校教育法の一部改正が施行され、学長のリーダーシップが問われています。私が本学学長に就任したのが昨年6月であったため、この一部改正は学長の役割を考える上でよい機会でした。
国立大学学長は教授会とは無関係に学長選考会議で選考されるため、時として学長(=理事長)と教授会が反目することがありました。そのため、学長と教授会の役割を明らかにすることを目的としてこの一部改正がなされたといえます。私立大学では学長の選出に関する法令上の規程は設けられておらず、各大学によって異なります。本学では教員による学長選挙結果を踏まえ、理事会で得票数の上位2名の中から学長予定者を決定します。そのため、本学においては学長のリーダーシップが教授会や理事会において発揮されやすいといえます。
しかし、学長として教学改革を行う上でいくつかの問題があります。本学は長らく医学部の単科大学(現在では看護学部を有する複合大学)であったため教員の多くは本学医学部出身者でありますが、職員には他大学文系出身者が多くなっています。そのため教員における愛校心は強く、また教員のほうが職員よりも立場が上といった風土がありますので、中々職員は教員の前で自ら意見を出しにくかったのが現状です。
本学は今年創立90周年を迎える西日本最古の私立医科大学です。古いが故に事務組織が硬直化しがちです。近年、国からの新たな医学教育改革(高大接続、分野別認証評価等)や公的外部研究資金の公募等が出される度に、事務組織の担当部署が曖昧となり、結果として大学の取り組みが遅れます。そのため学長の就任の際に5つの教学改革方針(Innovation、Translational Research、Social Contribution、Globalization、Open Mind)を掲げ、大学のHP「学長のOpen Mind」や「学報」に教学改革方針と具体的な方略を示し、大学に関わる多くのステークホルダーに教学の方針を公表しています。さらに年に2回、FD&SDとして「教育・研究集会」を開催し、各方略の達成度を教職員や学生に示し、意見交換を行っています。今年度の学長のスローガンを「教職協働」とし、積極的に各種委員会で職員に発言を求め、教職員が情報を共有できるように努めています。
現在、少しずつではありますが「教職協働」の輪を広げ教学改革を進めているところです。