昨今、デング熱、ジカウイルス感染症、中東呼吸器症候群(middle east respiratory syndrome:MERS)などの外国の感染症がニュースでも取り上げられています。「初耳だけど、医学部では感染症について真面目に勉強しなかったからかな」という先生も少なくないでしょう。確かに、このような感染症の多くは熱帯特有の風土病のような存在で、日本にとっての問題ではなく、医療界でも話題に上っていませんでした。
その昔に流行し、いったんは収まったものの、再び流行しはじめたような感染症を「再興感染症」と呼びます。再興感染症の代表格はデング熱ですが、日本においても、実は戦時中に東京や長崎などの各地で流行がありました。一方、過去に知られていなかった新種の感染症を「新興感染症」と呼びます。MERSなどの新興感染症の多くは、もともとヒト以外の哺乳類や鳥類の病気として存在していたものが、ウイルスの変異などをきっかけに人間の病気として広がったものです。
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