(質問者:岐阜県 K)
擦式手指消毒用アルコールによる手指消毒は,医療現場において最適な手指衛生の手法です。しかし,消毒用アルコール製剤は,ノロウイルスやロタウイルスなど,ウイルス構造に脂質膜であるエンベロープを持たないウイルス(以下,ノンエンベロープウイルス)に対して十分な効果が得られないことから,その手指衛生には,流水と石けんによる手洗いが優先されています。近年,このノンエンベロープウイルスに対しても有効性を示すとされる消毒用アルコール製剤が販売され,医療施設やドラッグストアなどでも見かけるようになりました。
この,ノンエンベロープウイルスにも有効とされる消毒用アルコール製剤ですが,その主成分はエタノールで,多くの製剤では日本薬局方の消毒用エタノールとして規定される濃度(76.9~81.4 vol%)が含有されています。手指消毒時の用法・用量も,「医療現場における手指衛生のための世界保健機関(WHO)ガイドライン」で推奨されている,手をこすり合わせて乾燥するまでに20~30秒程度かかるくらいの量(1回の手指消毒に対して2~3mL程度)が目安となります。異なる点としては,添加物としてクエン酸水和物,硫酸亜鉛水和物,乳酸,リン酸などを単剤,もしくは複数剤加えることで,その溶液のpHを酸性(2.61~3.62)に調製していることが挙げられます1)。
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