東大は9日、ゲノム医療が日本全体に普及するために必要な基盤技術を整備するため、がんと難病のゲノム医療研究プロジェクトを3月から開始すると発表した。
プロジェクトは日本医療研究開発機構(AMED)の「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」の一環として3年間行われる。国際基準に準拠したシークエンス(用語解説)室を学内に開設し、ゲノム解析に基づいた診断の確定、最適な診療の選択に関する研究を行う。外部施設からの解析も受け付ける。研究代表はがんが間野博行教授(細胞情報学分野、写真右から2人目)、難病は辻省次教授(神経内科・ゲノム医学センター、同右から3人目)。対象患者はがんが年間数百例、難病は年間600例ほどが想定されている。
会見でがん研究代表の間野氏は、この10年でがんの原因遺伝子が多数明らかとなり、原因遺伝子に対応した分子標的薬も開発されていることから、「(現在は)遺伝子変異を調べないとがん患者に最適な治療ができない」と説明。さらに、ゲノム解析を行う医療機関では海外の検査会社に検体を送ることも行われているため、「海外のデータベースに完全に頼るのはいかがなものか」として、日本人のデータベースを構築する必要性を強調した。