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【話題1】人工内耳・人工中耳の最新展開 [特集:今、話題になっていること ─耳鼻咽喉科編]

No.4846 (2017年03月11日発行) P.26

岩崎 聡 (国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科聴覚・人工内耳センター長)

登録日: 2017-03-10

最終更新日: 2017-03-08

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  • 過去の人工内耳・人工中耳

    1 人工内耳

    人工内耳誕生の原点は,18世紀にボルタが内耳を電気刺激すると音感覚が得られることを示したことにある。1970年に入ると,Houseらが単チャネルの蝸牛回転内埋め込み型人工内耳の開発に成功し,70年代後半には,Clarkらが多チャネル型人工内耳の開発に成功した。80年代から本格的な人工内耳の臨床応用がスタートした。
    わが国では,85年,舩坂らにより初めて人工内耳の臨床応用が実施され,91年,高度先進医療として認可・承認された。94年には保険適用となり,97年には,小児に対する保険収載も認められた。適応は,成人の言語取得後失聴者で130dBの聾から始まり,音声解析方法と電気刺激方法(コード化法)や人工内耳本体や電極の改良に伴い,110dB,90dBと適応聴力が拡大していった。

    2 人工中耳

    1983年,わが国で開発されたリオン型人工中耳がきっかけで,様々な人工中耳が開発されていった。リオン型人工中耳の適応は,慢性中耳炎,癒着性中耳炎,中耳炎術後耳で,鼓室形成術を施行しても十分な聴力改善が得られない混合性難聴症例であった。
    海外では,感音難聴を対象にした人工中耳として開発が進められた。2000年,海外で最も多く実施されているvibrant soundbridge(VSB)は,感音難聴に対する適応で米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の認可を取得し,07年,EUにおいては,伝音・混合性難聴に対する適応でCE-markを取得した。
    受信機から出ている導線の先端にFMTと呼ばれる振動子があり,感音難聴に対しては砧骨長脚に,伝音・混合性難聴に対しては正円窓に設置すると,音声情報が振動エネルギーとして直接内耳に伝わるシステムである。

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