▶在宅医療の推進に向けて議論する厚生労働省有識者会議のワーキンググループ(WG)は1日、在宅医療に関する医療連携や普及啓発、エビデンスの蓄積を重点分野とする案をまとめた。在宅医療の論点は「患者への24時間対応」「訪問看護ステーション」「在宅療養支援診療所」「家族の介護力」「診療報酬」「緊急時の受け入れ先になる医療機関」など多岐にわたる。その中でも特に、かかりつけ医の負担が大きい「24時間365日対応」の問題が重点分野に盛り込まれなかったことは疑問だ。
▶日医総研が2日に発表した「かかりつけ医機能と在宅医療についての診療所調査の結果」では、「24時間365日対応」が診療所の医師にとってハードルになっていることが改めて浮き彫りになった。調査結果によると、診療所の開設者または管理者に在宅医療を実施する上で大変なことを尋ねたところ、「24時間の往診体制をとること」が73.5%と最も多く、次いで「医師自身の体力」(69.1%)、「24時間連絡を受けること」(65.9%)となっていた。いずれも「24時間365日対応」に関するもので、在宅医療に取り組む診療所の負荷が軽減されない現状では、「普通のかかりつけ医」に在宅医療が普及しないのはやむを得ない。
▶弊誌2月11日号の連載「町医者で行こう!!」で長尾和宏氏は、在宅医療の深夜対応を地元の大病院の若い医師や看護師が担うことを提案している。かかりつけ医の負担を軽減するには、このほか、2016年度診療報酬改定で導入された在宅医療専門の診療所や訪問看護師が深夜や休日の対応を担うことが考えられるだろう。在宅医療の普及を目指すのであれば「24時間365日対応」の議論は避けて通れない。