株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)NAFLD/NASHの治療 [特集:NAFLD/NASHの病因・病態・治療]

No.4849 (2017年04月01日発行) P.43

竹井謙之 (三重大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)

山本憲彦 (三重大学大学院医学系研究科消化器内科学講師)

登録日: 2017-03-31

最終更新日: 2017-03-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • NAFLD/NASHに対する治療は,食事・運動療法と減量が第一選択であり,これら生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合に薬物治療や,時に外科的治療が選択される

    現時点で,十分なエビデンスに基づいたNAFLD/NASHに対する薬物療法は確立されていない

    糖尿病,高血圧,脂質異常症などのメタボリックシンドローム関連の合併症を有することが多く,これらに使用される薬剤によって,NAFLD/NASHの改善の可能性が報告されている

    1. NAFLD/NASHの経過と予後

    非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)に対する治療を考える上で,本疾患がどのような自然経過をたどるのか,さらに,その予後を理解することが大切である。NAFLDは,全身のメタボリックシンドロームの肝での表現型と考えられており,その治療方針を考える上でも,肝臓のみならず,全身のメタボリックシンドロームを意識することが肝要である。
    本疾患の死因に関しても,肝関連死(肝不全,食道静脈瘤破裂による出血死,肝細胞癌の発症)に加えて心血管イベントがあり,これらの発症予防を総合的に見据えた患者管理を行う必要がある。
    現時点でNAFLDに対する治療で高いエビデンスを持った効果のある薬物治療はいまだ示されていないのが現状である。実臨床において,まず生活習慣改善(運動・食事栄養療法)を指導し,同時に合併率の高い糖尿病,高血圧,脂質異常症に対する治療を行う(図1)。



    本稿は,日本消化器病学会編『NAFLD/NASH診療ガイドライン 2014』1),日本肝臓学会編『NASH・NAFLDの診療ガイド 2015』2)を中心に,最新の知見も交えて記載した。現時点での各薬剤のエビデンスレベルおよび推奨度も記載した(表1)。

     

    残り5,948文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top