2018度からスタートする予定の新しい専門医制度の枠組みがほぼ固まった。日本専門医機構は昨年12月、専門医制度の“憲法”と位置づける新整備指針を決定。指針の運用細則案についても先月、理事会が了承した。細則案については現在、機構のホームページ上で意見募集が行われており、寄せられた意見を踏まえ、正式に決定する。
新専門医制度は当初、2017年度からスタートする予定だったが、昨年初めに新制度に対する批判が噴出。大都市や大病院中心の制度で地域の医師偏在を助長するとの懸念が社会保障審議会医療部会などで示された。そして昨年7月に理事体制が大幅に刷新。吉村博邦新理事長をトップとする新執行部は同月、大都市への専攻医の集中が懸念されることを理由に新専門医制度の1年先送りを決定した。
ここで簡単に新専門医制度が創設されるに至った経緯を紹介する。
日本では各学会が独自に専門医制度を運営し、統一基準がないことや、2002年から要件を満たせば専門医の広告が自由にできるようになったことで、医療界から「専門医の質が適正に担保されていない」「国民が求めている専門医像との間にギャップがある」との反省が起きた。こうして、日本専門医機構の前身である日本専門医制評価・認定機構や日本学術会議で見直しの議論が始まり、それを引き継いだ厚生労働省の検討会が2013年4月に報告書を取りまとめ、改革の方向性が具体化された。
改革のポイントは2つ。1つは、専門医の認定を第三者機関が行うこと。もう1つは、基本領域の専門医に「総合診療専門医」を加えることだ。報告書を受けて2014年5月、プロフェッショナルオートノミーを基盤とした第三者機関「日本専門医機構」が発足。「専門医の質を高め、良質な医療が提供されることを目的」(厚労省報告書)として新しい仕組みの構築を進め、同年、整備指針第1版を公表した。
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