政府の経済財政諮問会議は12日、6月をメドに策定する「骨太方針」で焦点となる社会保障制度改革について議論した。榊原定征氏(経団連会長)ら民間議員は、医療費・介護費の伸びが高齢化の伸びを上回って増加しているとして、医療費・介護費の地域差縮減を歳出効率化の柱に据えるよう提言した。
民間議員は、診療行為の地域差(性・年齢を調整したレセプトの出現率)を今年度中に「見える化」すべきと指摘。その上で、自治体、保険者、医療関係者等による協議の場を設け、住民の受療行動や医療機関の診療行為の変化を促す体制を構築すべきとしている。国に対しては「医療サービスの標準化」と「報酬体系の見直し」を段階的に進めるよう求めた。
また、2025年に向けては、約30万人の在宅医療等の受け皿整備が必要と見込まれていることから、都道府県・市町村に対し、今年度末までに医療計画と介護事業計画を整合的に策定するよう要請。地域医療構想については、各都道府県の調整会議等を通じて、「具体的な医療機関名を挙げた病床の転換等の方針を早急に策定すべき」とし、都道府県主導による病床数の調整を求めた。
内閣府によると、会議では、来年4月に控える診療報酬・介護報酬の同時改定について、麻生太郎財務相が「適正化すべき」との見解を提示。塩崎恭久厚生労働相は医療費・介護費の地域差縮減に前向きな姿勢を示し、「データを活用し、保険者と都道府県のガバナンス機能を抜本的に強化する」と応じたという。