新規経口抗凝固薬(NOAC)はワルファリンと比較して,管理が容易であるばかりでなく,脳卒中/全身塞栓症の予防効果は同等かそれ以上,大出血の発症率は同等かそれ以下であることから有用性の高い薬剤である
NOAC各薬剤の特徴と患者背景を十分に考慮し,症例ごとに使用薬を判断する
モニタリング法は確立していないため,内服コンプライアンスや腎機能障害に留意する
ワルファリンは,長く広く使用されてきた有効性の確立した薬剤であるが,管理が容易ではない。プロトロンビン時間国際標準比(prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)を用いたモニタリングが必須であり,PT-INRはしばしば変動する。納豆をはじめとするビタミンK含有の食物,および食事制限が必要であり,薬物相互作用も多い。半減期が長いため周術期管理が煩雑になり,導入には時間を要する。出血性合併症の問題もあることから,日本でも欧米でもワルファリン療法の適応があっても実際に投与されている症例は5割程度にすぎず,ここに管理が容易な代替薬開発の背景がある1)。
新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulants:NOAC)には,抗トロンビン薬と抗Ⅹa薬がある。これまで使用されてきたヘパリンはアンチトロンビンを介して間接的にトロンビンや第Ⅹ因子を阻害するが,抗トロンビン薬は第Ⅱa因子を,抗Ⅹa薬は第Ⅹa因子を直接阻害する。抗トロンビン薬として2011年にダビガトランが,抗Ⅹa薬として12年にリバーロキサバンが,13年にアピキサバンが登場し,2014年9月26日には,エドキサバンが承認された。本稿では,ワルファリンとNOACの比較,NOACの使いわけや問題点を概説する。
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