ご承知のように医療・医薬に関わる広告は,誤った医療情報が社会に流出し,その影響が各地に広まらないようにする目的で,現在でも医療法や厚生労働省の通知などによって規制されています。主な規制は,一定のルールの中で認められる文言以外は表記してはならないというもので,多くは平成18年6月,第164回通常国会において可決成立した「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」の公布を受けてできた「医療広告ガイドライン」(詳細は巻末資料)に示されています。
こうした広告規制は,多くの国や医療以外の業界でも行われて,決して特別なことではありません。むしろ医療の場合,「国民のための安全で安心な医療にも貢献する制度」であるといえるのです。
急を知らせるのは玄関への「貼り紙」,と昔から相場が決まっているのですが,インターネットを使えば一瞬にして世界の隅々まで情報が伝わる時代となり,情報のインパクトや影響力は,1つひとつの現物メディアの一字一句に関わっていることができなくなってしまいました。「病院のホームページには何を書いてもよい」という時代があり,その後やはり「規制が必要かな」となっていますが,もうコントロールは不可能ではないかという感じです。
このように,文言の規制の仕方にこだわってきたわが国の医療広告規制は,無用の長物となり,思い通りのコントロールができなくなっています。それもそのはず,広告規制そのものが,広く理解を促すことを目的としていないのです。それでは医療現場を見えないように霞をかけているのと同じです。つまり,広告そのものが衰退する中,医療の広告規制は時代のテンポに合わなくなり,あってもなくても困らない存在であると認識するしかありません。
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