外反母趾は母趾の先が第2趾側に「くの字」に曲がり、つけ根が内側に突出した状態をいう。靴を履く生活の長い欧米人に多い病気と言われていたが、最近では日本でも生活の欧米化に伴い外反母趾が急速に増えてきた。私が忘れることのできない患者さんに出会ったのは、米国留学から帰国した、今から20年以上前のことであった。
患者さんは84歳の女性で、母趾が内側に徐々に変形してきたというのである(図)。この変形は内反母趾と言い、外反母趾手術の後遺症として起こることはあるが、このような特発性は極めて稀である。当時調べた範囲では本邦での報告は見られなかった。海外では幾つかの症例報告を見つけた。裸足で歩くことの多いインド人に多いという報告もあった。
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