発達障がいを有する人は長きにわたり,その定義と法の位置づけがなされていなかったが,発達障害者支援法(平成16年12月)によって福祉的援助を行うことができるように発達障害者の定義と法の位置づけを確立した。
この法律において「発達障がい」とは,「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(第2条1項)として定義されている。
また,発達障がいの①早期発見,②発達支援を行うことへの国および地方自治体の責務,③自立および社会参加への支援が明文化されている。
なお,地域相談機関として「発達障害者支援センター」の設置が義務づけられている。
発達障がいを有する人は,脳機能的な障がいから,環境への対応が難しい場合が多く,特に対人関係に困難さを及ぼすことも多い。そしてそれらは,人が暮らしていく中で一貫性を持った支援を行っていく必要が十分にある。潜在的な発達障がいを有する患者は多いとも言われており,精神科医療だけではなく医療従事者による適切な理解とともに,保育・教育,療育など様々な分野からの支援の視点と,継続的な支援を行うことが必須である。