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膵癌手術におけるリンパ節・神経叢郭清の意義とベストプラクティス【過不足のないリンパ節・神経叢郭清と,早期の回復を担保したR0切除がベスト】

No.4857 (2017年05月27日発行) P.57

赤松延久 (東京大学医学部附属病院 肝胆膵・人工臓器移植外科講師)

齋浦明夫 (がん研有明病院消化器センター 肝・胆・膵外科部長)

登録日: 2017-05-24

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  • 近年,術前術後の補助化学療法の進歩もあり,通常型膵癌に対する膵頭十二指腸切除(pancreaticoduodenectomy:PD),膵体尾部切除(distal pancreatectomy:DP)の予後の向上が報告されています。同時に外科領域からも,定型手術とされるいわゆるPD・DP術式において特に上腸間膜静脈動脈や腹腔動脈周囲のリンパ節・神経叢郭清の観点から様々な工夫の報告がなされており,これらも膵癌手術の成績向上に寄与していると推察します。膵癌手術におけるリンパ節・神経叢郭清の意義とベストプラクティスについて,がん研有明病院・齋浦明夫先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    赤松延久 東京大学医学部附属病院 肝胆膵・人工臓器移植外科講師


    【回答】

    膵癌における手術の目的は病理学的完全切除(R0切除)ですが,膵癌は神経叢浸潤の頻度が高く(72~80%),病理学的切除断端癌陽性(R1切除)となりやすいことが知られています。神経叢浸潤は,膵癌において重要な予後不良因子です。術前治療が行われた場合,頻度は減少しますが,その場合でも神経叢浸潤がある症例は予後不良です。切除例での検討では,膵頭部癌では神経叢浸潤は上腸間膜動脈方向に,膵体尾部癌では脾動脈から腹腔動脈周囲方向に延びることが多く,膵癌の根治にはこの部位の神経叢郭清が重要です。外科的切離端からがんの端までの距離(切除縁)は重要な予後規定因子とされ,mm単位で切除縁を確保することが推奨されています。

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