【質問者】
赤松延久 東京大学医学部附属病院 肝胆膵・人工臓器移植外科講師
膵癌における手術の目的は病理学的完全切除(R0切除)ですが,膵癌は神経叢浸潤の頻度が高く(72~80%),病理学的切除断端癌陽性(R1切除)となりやすいことが知られています。神経叢浸潤は,膵癌において重要な予後不良因子です。術前治療が行われた場合,頻度は減少しますが,その場合でも神経叢浸潤がある症例は予後不良です。切除例での検討では,膵頭部癌では神経叢浸潤は上腸間膜動脈方向に,膵体尾部癌では脾動脈から腹腔動脈周囲方向に延びることが多く,膵癌の根治にはこの部位の神経叢郭清が重要です。外科的切離端からがんの端までの距離(切除縁)は重要な予後規定因子とされ,mm単位で切除縁を確保することが推奨されています。
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