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化膿性脊椎炎に対する治療戦略【低侵襲治療の選択肢は多いが,いずれも早期の診断と治療開始が重要】

No.4859 (2017年06月10日発行) P.49

小松原悟史 (香川大学整形外科学内講師)

山本哲司 (香川大学整形外科主任教授)

登録日: 2017-06-08

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化膿性脊椎炎は,細菌感染による椎体骨髄炎,椎間板炎など脊椎化膿性炎症性疾患の総称である。高齢での発症や,血液透析患者など易感染性宿主の増加により,治療が難渋することも多い疾患である。

治療の原則は起炎菌の同定,感受性のある抗菌薬の投与,病巣の掻爬である。しかし,脊柱の破壊が起これば脊柱再建が必要となり,膿瘍による麻痺があれば,除圧が必要となる。そのため,保存療法から前後合併手術まで様々な治療の選択肢がある。重要なことは,早期診断と早期の治療開始で,結果的に治療の低侵襲化につながる。

低侵襲治療として,Nagataらの方法に準じて経皮的病巣掻爬と持続洗浄ドレナージを行い,その有用性を報告してきた。内視鏡を併用して,より安全に病巣掻爬を行う方法も報告されている。しかし,離床までの期間が長く,医療経済上でも,リハビリテーションの上でも不利となる。また,脊柱の破綻が強い例や,上位胸椎から中位胸椎発症例では,適応に限界がある。

近年,早期離床を図る目的で,後方から最小侵襲脊椎制動術(MISt)が行われるようになった。利点としては脊柱から剝離する筋肉の量が少ないこと,instrumentationの挿入とは別皮切で除圧や病巣掻爬が可能となること,待機的に前方固定術が可能となること,などがある。欠点は,異物を挿入すること,骨移植を行わないため,抜釘が必要となること,である。治療の選択肢は増えているが,起炎菌を同定しないまま抗菌薬を投与することは避けなければならない。

【解説】

小松原悟史*1,山本哲司*2  *1香川大学整形外科学内講師 *2同主任教授

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