沖縄から帰ってきた患者に発熱がみられた場合、沖縄特有の感染症を念頭に置きましょう。沖縄という地域特異性、疫学(発症する時期と場所)を意識しつつ、単なる観光や野外活動ではない、感染が成立するための具体的な所作を、病歴の中で明らかにすることが大切です。以下に、見逃されるべきでない沖縄に関連する疾患をまとめました。
沖縄は全国一の発症届出数です。2016年第52週までの全国届出数74例中、沖縄県は41例でした。これは2003年以降、最も多い数となっています。特に沖縄本島北部地区の滝での水浴、八重山諸島の河川でのレジャー、傷のある手指、趾を水につけた病歴、汚染された水や土壌との接触歴を確認することが大切です。ネズミやマングースなどの哺乳動物との接触歴も参考にします。抗菌薬投与後に激しい悪寒戦慄が出現し、血圧が低下するJarisch-Herxheimer reactionも診断の傍証になります。
これまでにそれぞれ3例と1例の報告があります(2017年1月現在)。これらの病原体(Rickettsia japonica, SFTSウイルス)を媒介するマダニ類は沖縄本島に存在し、いずれも沖縄本島北部地域で報告されていることから、同地域での活動歴があれば積極的に疑います。症状として、日本紅斑熱は発熱に皮疹(手掌にもみられる)、痂皮を伴います。SFTSでは、発熱に消化器症状(下痢、嘔吐、腹痛など)を伴い、血球減少、肝機能障害、血球貪食症候群、CRP陰性を呈します。
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