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【この人に聞きたい】勤務医の働き方改革への取り組み(福井次矢 聖路加国際病院院長)

No.4863 (2017年07月08日発行) P.10

登録日: 2017-07-07

最終更新日: 2017-07-13

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  • 時間外労働の上限規制を医師に適用する以上、
    「労働」と「自己研鑽」の線引きを明確にした上で
    労働時間の管理のあり方を議論すべきだ

    〔略歴〕1976年京大卒。聖路加国際病院で研修後、米国留学。84年ハーバード大学公衆衛生大学院修了。帰国後、佐賀医大総合診療部教授、京大病院総合診療部教授、同大院臨床疫学教授などを歴任。2005年より現職、16年より聖路加国際大学学長(兼任)。京大名誉教授。

    日本有数の高度急性期病院として知られる聖路加国際病院(東京都中央区)が、今年6月から土曜日の外来診療体制を従来の34診療科から14診療科へと大幅に縮小した。同病院には昨年6月、労働基準監督署が立入調査を行っており、長時間労働の是正を指導された。土曜外来の縮小もその一環だ。
    病院長の福井次矢氏に、病院勤務医の過重労働対策の取り組みと医師の働き方改革を進める上での課題について聞いた。

    「労働」という意識が希薄な医師集団だった

    ─今回の土曜外来縮小に至るまでの経緯を教えてください。

    聖路加国際病院は研修医をはじめ若い医師が多く、「労働ではなく勉強に来ている」という意識が強い医師の集団でした。ずっと病院にいればそれだけ幅広い疾患に対応でき、短時間で手技や知識が身に付く。On-the-job-trainingの環境としてはかなり良いと思っていました。労基署の調査が入る前の昨年4~5月の全医師の時間外労働は平均95時間にも上っていました。
    労基署の調査が入り、病院滞在時間の短縮を指導され、最も重点的に取り組んだのは、医師1人1人の意識改革でした。病院滞在時間を短くする必要性を何度も伝え、病院外でも可能な勉強は外でやってもらうようにし、仕事をなるべく所定時間内に収める努力を求めました。
    調査前の夜勤の医師数は、救急科、内科、小児科など全部合わせて夜12時の時点で17~19人いましたが、現在は12~13人まで減らしています。若い医師ばかりで回していた準夜帯や土日(日直相当)にベテラン医師にも入ってもらうようにするなど、勤務体制の見直しも行いました。
    それでもまだ短縮の必要があったため、救急科、小児科、産婦人科など、どうしてもやめるわけにはいかない14診療科を除く20診療科の土曜外来をやめることにしたというわけです。

    ─混乱はなかったのですか。

    土曜外来を縮小するとアナウンスした途端に患者さんからクレームが来ました。実際、学校や仕事を休む必要が出てくる患者さんがいますから。できるだけ、そういう人たちは各診療科で個別に対応するよう指示を出しています。大きな混乱は特に見られません。

    全医師の時間外労働が月平均40時間に

    ─病院滞在時間短縮の取り組みの成果と苦労した点は。

    現在は全医師の時間外労働は平均月40時間程度になっています。努力すればかなりの診療科では「1年のうち6カ月間は時間労働月45時間以内」という労働基準法の規定を満たすことは可能です。
    しかし、救急・集中治療、小児科、外科、産婦人科などでは、他科の医師になかなか代わってもらうことができないので、至難の業ですね。夜間対応を求められる診療科は慢性的に人手不足です。

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