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在宅医療「かかりつけ医が担い手」─推進の課題は「教育」と「啓発」【第1回在支連全国大会シンポ】

No.4692 (2014年03月29日発行) P.131

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-27

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【概要】全国在宅療養支援診療所連絡会の第1回全国大会が22、23の両日、都内で開かれた。23日のシンポジウムでは、在宅医療におけるかかりつけ医の重要性が相次いで指摘された。

23日のシンポ「今、なぜ在宅医療なのか?」では、大会長の新田國夫氏が講演に立った。新田氏は「障害の原因を特定し治癒を目指すだけでなく、患者にどんな能力が残されているかを評価し維持する医療が求められている」とした上で「それができるのは地域医療に携わるかかりつけ医だ」と訴えた。

日本医師会の横倉義武会長は、2025年に向けて要介護人口が増え、自力で通院できる患者が少なくなることから「地域へ出かけるかかりつけ医の充実がますます重要になる」と強調。東大高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授も、かかりつけ医の在宅医療への参入を「医療改革の橋頭堡」と表現した。

●新田氏「地域の開業医の研修も必要」
続いて行われた総合討論では、在宅医療の担い手の教育・研修を巡り議論が交わされた。

横倉氏と辻氏は、教育の場として地域医師会を挙げ、医学生や研修医が地域医療の現場に触れることの重要性を指摘。これに対し新田氏は「若手が成長するまでには時間がかかる。いま地域にいる開業医が在宅に対応できるようになるための研修も必要ではないか」と提言した。

一方、厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室の佐々木昌弘室長は、在宅医療の推進には「医療を受ける側の意識変革も必要不可欠」と述べ、同省が進める医療・介護提供体制改革について「ポイントは、適切な医療を選択する責務を国民にも求めていること」と説明。現場の医師に国民への啓発を呼び掛けた。

●同一建物訪問の大幅減点に懸念
22日には、2014年度診療報酬改定をテーマにしたシンポが開かれた。登壇者からは、在宅医療の不適切事例への対応として、在総管と特医総管の「同一建物における複数訪問時」の点数が同一建物以外の約4分の1に引き下げられたことに批判が集中した。

もりおか往診クリニック(盛岡市)の木村幸博院長は「今まで通りやれば総収入の12%減になる。(施設在宅を)やればやるほど赤字になる」と訴えた。加えて、経営が悪化すれば医師を含めた職員のリストラも迫られることから、「在宅看取りが困難になれば病院搬送も増え、勤務医の疲弊も懸念される」と指摘。在宅医療の充実を柱の1つとする地域包括ケアシステムの実現性を疑問視した。


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