日本精神神経学会はこのほど、精神保健福祉法改正案についてセミナーを開催した。講演した岡山県精神保健福祉センター所長の野口正行氏は、同改正案に盛り込まれた退院後支援に関して、現在厚生労働省研究班が作成中のガイドラインで「支援は防犯目的ではない」と明確化されることを紹介した。
先の国会で継続審議となった同改正案には、措置入院患者の退院後支援の充実が盛り込まれているが、退院後支援計画への警察関与など一部の改正内容に対し、野党が「精神障害者の監視につながる」と反発。同学会も3月に、「犯罪の防止を目的として法の改正を行うべきではない」と訴える声明を発表していた。
野口氏によると、厚労省研究班が措置入院制度の運用ガイドラインを5つ作成しており、今月にも暫定案が公表される見通し。このうち退院後支援に関するガイドラインでは、支援は防犯目的ではなく、本人の同意に基づいて行うことを明確化。医療機関や精神保健福祉センター、保健所、自治体などが連携した包括的な支援のあり方が示されている。
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