認知症は障害者総合支援法の対象疾患である
精神障害者保健福祉手帳の取得により税制上の優遇措置などを受けることができる
公費負担制度を利用できる場合がある
若年性認知症では,介護保険2号被保険者であっても特定疾患に該当しない場合および40歳未満の場合は介護保険を利用できず,その場合,障害者総合支援法の利用が重要である
障害保健福祉施策は,2003年から支援費制度を導入して,身体・知的・精神の3種別で実施されてきた。しかしながら,3種別であることがわかりにくい,地方による格差が大きい,財源確保が困難,などの理由により,2006年に障害者自立支援法が施行された。
その後,障害児については児童福祉法を根拠法に整理しなおし,難病も対象とするなどの改正を経て,「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて,地域社会における共生の実現に向けて,障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため,新たな障害保健福祉施策を講ずる」ことを趣旨として,2013年4月に障害者総合支援法と変更された。
この変更により,それまでの障害者自立支援法にあった「障害者及び障害児が自立した日常生活又は社会生活を営む」との表記を「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営む」とするとともに,「地域生活支援事業」による支援を含めた総合的な支援を行うことが明記された。さらに表1のような基本理念が創設されている1)。
認知症になると,認知機能低下により,これまでできていた社会的な情報処理ができなくなる。また,判断が定まらなくなり適切な行動を起こすことが難しくなるため,自立した社会生活を営むことが困難となっていく。認知症を発症し認知症と診断された後,本人ならびに家族がこの社会で安心して生活していくためには,認知機能低下を補填する様々な生活の支援が必要となる2)。認知症の人が利用できる社会福祉サービスの1つに,障害者総合支援法にかかるサービスがある。
障害者総合支援法に基づく障害者を対象としたサービスには,都道府県が行う「地域生活支援事業」と市町村が行う「地域生活支援事業」および「自立支援給付」がある(図1)3)。
サービス利用に際しては,市町村の窓口に自立支援医療利用を申請あるいは,申請して障害支援区分の認定を受けて精神障害者保健福祉手帳を取得することから始まる。
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