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胆嚢癌手術における至適リンパ節郭清範囲【良好な手術成績を得るためには肝十二指腸間膜内・総肝動脈幹・上膵頭後部リンパ節の郭清が必須】

No.4874 (2017年09月23日発行) P.55

岸 庸二 (国立がん研究センター中央病院肝胆膵外科外来医長)

坂田 純 (新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野講師)

若井俊文 (新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野教授)

登録日: 2017-09-22

最終更新日: 2017-09-19

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  • 胆嚢癌手術における至適リンパ節郭清範囲についてご教示下さい。新潟大学・若井俊文先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    岸 庸二 国立がん研究センター中央病院肝胆膵外 外来医長


    【回答】

    胆囊癌において,リンパ節転移は重要な予後規定因子のひとつです。欧米のがん取扱い規約は,肝十二指腸間膜内のリンパ節と総肝動脈幹リンパ節を領域リンパ節と定義し,それより遠位のリンパ節を遠隔転移として扱っています。欧米では,一部の先進的な施設を除くと,胆囊癌の根治切除の際にこれらの領域リンパ節を必ずしも十分に郭清しているとは限らず,リンパ節転移陽性胆囊癌の手術成績はきわめて不良で長期生存例はほとんどみられないのが現状のようです。

    一方,わが国の「胆道癌取扱い規約 第6版」は,上記リンパ節に加えて上膵頭後部リンパ節(♯13aリンパ節)を領域リンパ節と定義しています。この♯13aリンパ節は,欧米のがん取扱い規約では遠隔転移として扱われています。わが国の外科医は,胆囊癌の根治切除において♯13aリンパ節を含めた領域リンパ節を郭清することで,多数のリンパ節転移陽性胆囊癌の長期生存例を報告しています。

    肝十二指腸間膜内のリンパ節と総肝動脈幹リンパ節は,欧米およびわが国のいずれのがん取扱い規約においても領域リンパ節として定義されており,これらのリンパ節を領域リンパ節とすることに関して問題はないと考えられます。

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