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歩行に支障がある社員の通勤災害・労災と安全配慮義務の関係は?【安全管理の不備がなければ義務違反にならないが,社内,通勤時傷病は労災保険から給付あり】

No.4874 (2017年09月23日発行) P.60

安西 愈 (安西法律事務所 弁護士)

登録日: 2017-09-26

最終更新日: 2017-09-19

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  • 進行性の疾患で歩行に支障がある社員について,社内での転倒の危険は少ないが,通勤時に転倒した場合に通勤災害となるため安全配慮義務上,就業の制限が必要ではないかとの相談を産業医として受けました。以下の点をご教示下さい。
    (1)通勤時に,疾患や身体障害により転倒した場合,転倒の危険性が高い社員を通勤させたとして会社の安全配慮義務違反が問われる可能性はあるのでしょうか。
    (2)社内で転倒した場合,労災として認められると聞いていますが,転倒のリスクが高い社員を障害者雇用して,その社員が段差もない平坦なところで転倒した場合,それが社内であれば労災事故として安全配慮義務違反となる可能性はあるのでしょうか。

    (東京都 Y)


    【回答】

    (1)歩行に支障がある社員が通勤時に転倒した場合

    使用者には,労働者が労務を提供する過程でその生命および身体を危険から保護するよう配慮すべき義務があり,この義務を「安全配慮義務」と呼んでいます。

    これは,使用者の指揮命令下にある場合の危険からの保護義務です。したがって,通勤時は,使用者の指揮命令下にありませんから,安全配慮義務の対象とはなりません。なお,通勤災害は,業務上災害(労災)には該当しませんが,労災保険法改正により1973年から「通勤災害」として特別に労災保険から給付を行うことになっています。

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