インフルエンザシーズンを前にして,今年もクリニックはワクチン接種で大忙しのことと思う。インフルエンザワクチンの生産量は,かつて学童への集団接種が行われていた頃の2倍強の約3500万本相当(1mL/1本)になっており,定期接種の対象である高齢者のみならず,幅広い年齢層が接種を受けている。
効果・安全性などについては様々な議論があり,万人の満足が得られるものとはなっていない。しかし,それに手をこまねいているだけではなく,目に見えないところで研究は日進月歩の動きを見せている。多くの医療関係者が手にとるインフルエンザワクチンのバイアル。その現状と課題,少し先に見えてきたこと,そして新規導入が現実に検討されているものなどについて,インフルエンザ研究の第一線におられる先生方に執筆いただき本特集を構成した。ぜひご一読いただきたい。
1 インフルエンザワクチン製剤の現状と課題
国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター室長 信澤枝里
2 より効果のあるワクチンをめざして
北里大学北里生命科学研究所感染制御・免疫学部門ウイルス感染制御学研究室Ⅰ教授 中山哲夫
3 新規あるいは新規導入が議論されているインフルエンザワクチン
国立病院機構三重病院名誉院長 庵原俊昭