(埼玉県 I)
アルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer type:DAT)は,アミロイドβの神経毒性などにより,脳内でシナプス量や神経細胞数が減少する「病態」によって,認知機能低下などの「症状」を呈する疾患であり,「病態」も「症状」も進行性です。
ドネペジルを含むコリンエステラーゼ阻害薬は,神経伝達物質であるアセチルコリンの分解酵素を抑制することによって,脳内のコリナージック神経を賦活する薬剤であり,DATにおいて認知機能低下などの「症状」の改善効果を持っています。いわゆる周辺症状を改善するとの研究結果も存在しますが1),その主要な効果として改善される「症状」は認知機能です。
コリンエステラーゼ阻害薬は,基礎実験では神経細胞保護効果を認めるとの報告があり2),一部に脳萎縮などの抑制を得られたという成績もみられる3)ものの,その主要な作用はアセチルコリン分解酵素の阻害によるコリナージック神経の賦活であり,シナプス量や神経細胞数の減少を抑制することはできないため,「病態」の進行を抑制するという成績は得られていないと記載されています。
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