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(3)正しい輸液療法のあり方[特集:知っておきたい「子どもの脱水と輸液管理」]

No.4880 (2017年11月04日発行) P.38

野津寛大 (神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野准教授)

登録日: 2017-11-03

最終更新日: 2017-11-01

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  • 輸液療法とは,体内の水分量および組成を正常に保つため,水分や電解質,糖分などを直接静脈内に補充する治療法である

    臨床においては,①何らかの原因により不足した体内の水分や電解質を補うための輸液〔補充輸液(deficit fluid)〕,②体内の恒常状態(ホメオスタシス)を維持するための輸液〔維持輸液(maintenance fluid)〕,に分類される

    補充輸液においては,体内の水分欠乏量を正確に判定し,等張液を用いて補う必要がある

    入院中の小児患者の多くはnon-osmotic stimuliによりバゾプレシン(AVP)の分泌亢進状態であるため,低張液の投与により医原性低ナトリウム(Na)血症の発症リスクが高くなる

    小児の維持輸液において憂慮すべき最優先事項は,低Na血症の発症を未然に防ぐことである。その上で,患者の注意深い観察の元,輸液製剤の種類および投与量を決定する必要がある

    1. 輸液療法

    1 輸液療法とは

    輸液療法とは,体内の水分量および組成を正常に保つため,水分や電解質,糖分などを直接静脈内に補充する治療法である。臨床においては,①何らかの原因により不足した体内の水分や電解質を補うための輸液〔補充輸液(deficit fluid)〕,②体内の恒常状態(ホメオスタシス)を維持するための輸液〔維持輸液(maintenance fluid)〕,に分類される。

    2 輸液の組成─張度,等張液,低張液とは

    張度(tonicity)とは,半透膜を超えて影響を及ぼす浸透圧のことであり,具体的には細胞膜を通過しない溶質による浸透圧を意味する。血漿の張度はおよそ2×〔ナトリウム(Na)濃度+カリウム(K)濃度〕で表される。2をかける理由は,NaおよびKが同じだけの浸透圧を持つ陰イオンと共存しているためである。5%ブドウ糖液の浸透圧は,252mOsmol/Lで血漿とほぼ等浸透圧であるが,輸液として静脈内投与されると,血漿中ですぐに代謝されたり細胞内に取り込まれたりするため,張度は0で自由水と考えられる。

    つまり輸液製剤では,生理食塩液(張度308mOsmol/L)やリンゲル液(張度280mOsmol/L)は等張液であるが,ソリタ®-T3号は糖分により等浸透圧であるものの,低張液(張度110mOsmol/L)である。主な輸液製剤とその張度,組成を表1に示す。

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