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PD-L1はどのようなタイミングで測定すればよいか?【免疫チェックポイント阻害薬を使用する直前の検体で評価する】

No.4881 (2017年11月11日発行) P.60

冨樫庸介 (国立がん研究センター免疫TR分野)

西川博嘉 (国立がん研究センター腫瘍免疫研究分野・免疫TR分野長/名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞免疫学教授)

登録日: 2017-11-09

最終更新日: 2017-11-07

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  • PD-L1(programmed death-ligand 1)は,保険上1回しか測定できません。しかし,抗体陽性率は化学療法などで動的に変化すると言われています。測定のベストなタイミングについてご教示下さい。また今後,測定が複数回行えるようになる見込みはありますか。

    (福岡県 S)


    【回答】

    (1)PD-L1免疫染色の問題点

    抗PD-1/PD-L1抗体に代表される免疫チェックポイント阻害薬は,有効性が科学的に証明されたがん免疫療法です1)2)。しかし,奏効しない症例も多く認められ,効果を予測するバイオマーカーが必要とされています。PD-1をターゲットにした治療ですので,PD-1と結合する相手方であるPD-L1に注目したのが「PD-L1の発現を免疫染色で検討する」という試みです。

    そして,抗PD-1抗体であるペムブロリズマブを進行非小細胞肺癌の一次治療として使用する際には,腫瘍におけるPD-L1免疫染色の有用性が報告されています2)。ただし,同じ抗PD-1抗体であるニボルマブを進行非小細胞肺癌に用いた他の臨床試験では,PD-L1免疫染色で患者群を選別しても生存曲線はクロスしたままでした1)。つまり,上皮増殖因子レセプター(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異のような決定的な効果予測バイオマーカーではありません。

    ご質問にあるようにPD-L1は動的に変化しますし(後述),同じ腫瘍でも場所によって発現がまったく異なること(腫瘍内の不均一性)も報告されています3)。さらに最近ではPD-L1は,腫瘍細胞だけではなく抗原提示細胞などにも広く発現しており,腫瘍細胞以外のPD-L1も抗PD-1/PD-L1抗体の治療効果に重要であることが報告されています4)

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