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マルモ事例における意思決定ジレンマ─「正解」よりも「落としどころ」を[プライマリ・ケアの理論と実践(128)]

No.5099 (2022年01月15日発行) P.12

尾藤誠司 (国立病院機構東京医療センター総合内科)

登録日: 2022-01-13

最終更新日: 2022-01-12

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SUMMARY
マルモ事例においては,定型的な患者のインフォームド・コンセントを支援するという視点での意思決定のすすめ方では,うまくいかないことがしばしばある。「正解」をめざすよりは「落としどころを探る」というアプローチが肝要である。

KEYWORD
患者にとっての最善の利益
「患者にとって最善の利益」をもたらす決断に向かうには,医学的根拠と患者の選好・価値観,さらには患者を取り巻く様々な状況をバランスよく根拠として尊重することが望ましい。

尾藤誠司(国立病院機構東京医療センター総合内科)

PROFILE
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POLICY・座右の銘
人の為と書いて偽

1 医療における意思決定の基本

医療における意思決定の基本的な枠組みは,患者のインフォームド・コンセント(あるいはインフォームド・チョイス)にあり,自律的な存在である患者が,自らの自由意思に基づくインフォームド・コンセントを発することができるような支援を行うことが医療者の役割となる。

その上で,意思決定のゴールにあるものは,患者自身にとっての最善の利益であり,患者は自らにとっての最善の利益を実現する決断を行うために,専門家から情報を得て,それを十分に理解した上で,自らの状況や選好,価値観に照らし合わせて決断するというのが,定型的なインフォームド・コンセントのモデルである(図1)。

定型的なモデルにおいては,ある医療介入を患者が受け入れることを想定したとき,その医療介入によって得られる利益と不利益の内容と程度,そして,そのバランスは比較的はっきりしている。さらには,患者は自立的であり自律的でもある独立した意思決定の主体者であり,基本的にある診療行為に関する決断の影響は患者自身に集約される。







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