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マルモ総論(バランスモデルの紹介)─「つなナラ」と「3つのポリ」を意識しよう[プライマリ・ケアの理論と実践(121)]

No.5089 (2021年11月06日発行) P.12

大浦 誠 (南砺市民病院内科医長・総合診療科医長)

登録日: 2021-11-04

最終更新日: 2021-11-02

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SUMMARY
多疾患併存状態(マルチモビディティ:マルモ)への介入には,患者のできそうなこと(capacity)を支援し治療負担(treatment burden)を軽減することが求められる。その介入のバランスを患者と意思決定していくために有用なバランスモデルを紹介する。

KEYWORD
マルモのバランスモデル
多疾患併存状態の患者への介入が過不足ないか,バランスをとりながら意思決定するためのモデルである。

大浦 誠(南砺市民病院内科医長・総合診療科医長)

PROFILE
2009年福井大学卒業。南砺市民病院初期研修,とやまNANTO家庭医養成プログラムを経て,2015年家庭医療専門医取得。2020年南砺市民病院総合診療専門研修プログラム統括責任者となり,現在に至る。

POLICY・座右の銘
The strength of weak ties(弱い紐帯の強さ)

1 はじめに

多疾患併存状態(マルチモビディティ:筆者は親しみを込めてマルモと呼んでいる)は2つ以上の慢性疾患が併存し,中心とすべき疾患が複数ある状態と定義されている1)。わが国では,18歳以上の29.9%,65歳以上の高齢者だと62.8%がマルモ状態であると報告されている2)。死亡率の増加や,QOLの低下をはじめとする健康リスクと関係しているため,超高齢社会において取り組むべきテーマである。

英国国立医療技術評価機構3)や米国老年医学会4)でもマルモへのアプローチの推奨を紹介している。具体的には多様な慢性疾患に対して病状を把握し,複数のガイドラインを網羅する完璧な治療計画を考えた上で,患者や家族の背景,好み,予後を把握し,治療間の相互作用を考え,個別に利益と害を比較し,介入を開始するかどうかを話し合い,実現可能性やアドヒアランスや好みに合うのかを定期的に検証することが望まれる。



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