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特集:内科医が診る不明熱─ケースで学ぶ鑑別診断のすすめ方

No.5095 (2021年12月18日発行) P.18

井田弘明 (久留米大学医学部 呼吸器・神経・膠原病内科教授)

登録日: 2021-12-17

最終更新日: 2021-12-15

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1987年長崎大学医学部卒業。93年長崎大学大学院修了。94年米国ダナ・ファーバー癌研究所留学。2006年長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科講師。13年より現職。

1 不明熱とは?
・不明熱は,38.3℃以上の発熱が3週間以上持続, 3日間の入院精査あるいは3回の外来診療で原因不明と定義される。

2 3大不明熱とは?
・不明熱症例に出会った場合,3大不明熱疾患である感染症,悪性腫瘍,膠原病をまず確認する。

3 不明熱の鑑別診断のすすめ方
・3大不明熱疾患を否定できた場合,見逃されやすい疾患,広義の自己炎症症候群,そして狭義の自己炎症症候群と鑑別を行う。自己炎症症候群は,第4の不明熱と呼ばれる。

4 感染症
・感染症では,深部膿瘍 ,結核, 感染性心内膜炎に注意する。

5 悪性腫瘍
・悪性腫瘍では,血液悪性疾患(悪性リンパ腫,白血病)を念頭に精査する。特に,血管内リンパ腫は診断に苦慮することが多い。

6 膠原病
・膠原病では,血管炎を特に精査する。

7 見逃されやすい疾患
・見逃されやすい疾患は,サルコイドーシス,薬剤熱,亜急性甲状腺炎,Castleman病,菊池病などがある。

8 広義の自己炎症症候群
・広義の自己炎症症候群では,ベーチェット病,成人発症Still病,クローン病,偽痛風に注意が必要である。

9 狭義の自己炎症症候群
・狭義の自己炎症症候群では,家族性地中海熱を疑い遺伝子検索を行う。

おわりに
・自己炎症症候群を疑った場合,地域の専門医に紹介するか,日本免疫不全・自己炎症学会ホームページ上に設けられている症例相談窓口を利用する。

1 不明熱の定義

不明熱は,1)古典的不明熱(①38.3℃以上の発熱が3週間以上持続,②3日間の入院精査あるいは3回の外来診療で原因不明),2)院内不明熱,3)好中球減少性不明熱,4)HIV(human immunodeficiency virus)関連不明熱にわけられる1)。古典的不明熱以外は,易感染状態であることが多い。37℃台の微熱の患者は,不明熱の定義に当てはまらない。

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