SUMMARY
指導内容を守れない患者に対してポリアドバイスを防ぐために考慮すべきこととして,①「事実」と「意見」をわける,②自身が患者に陰性感情を抱いていないか,③周囲の環境に原因がないか,の3点を考慮することが重要である。
KEYWORD
SMART
目標設定の際に意識する項目として,Specific:明確な,Measurable:測定できる,Achievable:達成可能な,Relevant:関連した,Time bound:締め切りのある,の頭文字を並べたものである。SMARTを意識すると目標の到達度を客観的に評価・管理しやすくなる。
PROFILE
日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医。富山の地で家庭医療を学び,現在は南砺市民病院での外来・入院・訪問診療に加え,昨年スタートした地域密着型ドクターカーに乗務しています。
POLICY・座右の銘
未来は自分で切り拓くもの
転居を契機に,高血圧症,糖尿病,脂質異常症,アルコール性脂肪肝,高尿酸血症での定期通院が開始となった方への初回受診時のアドバイス
医師:タバコとお酒をやめてきちんと運動して,血圧もしっかり測定しましょう。食事はバランスを考えて,よく噛みましょう。それから,ストレスを溜めると良くないですから何か趣味を見つけたほうが良いですね。
患者:はい。なるべく頑張ってみます。
(5週間後)
患者:すみません。仕事が忙しくて予約日から1週間過ぎてしまいました。でも薬はちゃんと飲んでいて,明日の分でちょうどなくなります。お酒も少し減らしましたよ。タバコは……また値上げしたらやめようかなと思ってます。妻や娘も臭いを嫌がるし。血圧は測ったり測らなかったりでしたけど,しっかり測定しましたよ。夜は帰りが遅くて,食事して軽く1杯やるとすぐに布団に入るんですけど,それからスマホで動画を見たり,ゲームをしてたら時間が過ぎてますね。寝不足かも,とは薄々感じてます。運動もいろいろ頑張ろうと思ってやってみたんですが,なかなか続かないんですよ。
医師:……(全然前回のアドバイスを聞いていない。薬の飲み方も怪しいし,いいかげんな人だなぁ。治療する気があるんだろうか)。