全国医師ユニオンが実施した「勤務医労働実態調査2017」の結果から、1カ月の休みが「0日」と回答した勤務医の割合が、常勤医で8.2%に上ることが明らかとなった。
全国医師ユニオンは2009年に結成された勤務医の全国的な労働組合。今回の調査は2012年以来の実施となり、ユニオン加盟者に加え、各学会をはじめとする医療団体に協力を依頼した。回答があった勤務医約1800人のうち、集計が終わったWEB回答を除く1621人のデータについて速報的に公表した。
働き方に関する質問では、1カ月の休みについては、常勤医4.7日、初期研修医5.3日、後期研修医4.9日と大きな差は見られなかったが、1カ月に休みが0日と回答したのは常勤医8.2%、初期研修医4.2%、後期研修医8.1%となり、9日に会見した植山直人代表は、「常勤医と後期研修医では看過できない数字と言える」と訴えた。
また時間外労働については、常勤医全体で53.3時間、当直を行っている常勤医では63.9時間となった。1カ月の時間外労働が過労死ラインとされる80時間を超えている医師は、常勤医4.9%、当直を行っている常勤医7.3%、初期研修医8.5%、後期研修医では18.9%と非常に高い数字を示した。
植山氏が問題視したのは、労働時間の管理方法。「タイムカード等の客観的管理」が27.5%にとどまる一方、「自己申告」51.6%、「管理なし」17.6%となっており、約7割の勤務医について労働管理が実質的に行われていない実態が明らかとなった。
業務負担の軽減に関しては、「この2年間で変わりましたか」と質問。「増えた」が45.5%であるのに対し、「減った」は16.9%、「変わらない」が35.7%という結果となった。一方、日当直回数では「減った」が「増えた」を上回るなど、改善が進んでいる分野もあることが分かった。
この結果について植山氏は、「診療報酬の算定で義務化されている文書の作成業務などが非常に増えている。また医療安全への取り組みとして院内の委員会が増えていることも影響しているのではないか」との見方を示した。
このほかでは、2年後をメドに労働時間の短縮策などの具体的な規制のあり方について検討が行われている「働き方改革」についても質問。働き方改革で「医師労働は改善すると思いますか」との質問では、「ほとんど改善しない」が57.1%に上ったのに対し、「大きく改善する」「改善する」の肯定的意見は2割以下となった。改善しない理由としては、「必要な診療体制を維持できない」「医療現場の法律は守られない」「医師を労働者と考えない風潮」などが上位に上がっており、現場の期待はあまり高くないことが窺える。
一方で、医師の労働時間規制に関しては、「賛成」が50.5%と「反対」の14.7%を大きく上回る結果となった。