厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は10日、医療団体から病院勤務医の働き方改革に対する見解を聴取した。
市川朝洋氏(日本医師会)は、医師に対する労働時間規制が及ぼす影響について、会内の委員会を通じて集めた医師の声を報告。「二次救急を担う中小病院が診療を縮小し、結果として患者が集中する基幹病院の医師の負担が増える」など懸念の声が大半を占めた一方で、「時間外の拘束が少ないマイナー科に進む医師の増加が地域医療崩壊に関連しているが、規制の導入で状況が改善される」と期待を示す意見も出たと紹介した。
山本修一氏(全国医学部長病院長会議)は、大学病院医師の長時間労働の一因として、院内の委員会・会議の多さに言及。大学病院73施設が回答した調査結果を基に「医師の出席義務がある会議が平均67会議、年間開催回数は平均約356回。国から何か指導がある度に増えてなかなか減らせない」と訴えた。
馬場武彦氏(四病院団体協議会)は、宿日直勤務について、一部の医療機関が労働基準法上の許可申請を行わずに対応していることに触れ、「労基法の宿日直基準が一般的な医療機関の実態と乖離していることが一因」と指摘した。
邉見公雄氏(全国自治体病院協議会)は「働き方改革は地域偏在対策や国民啓発と一体的にやらなければ、角を矯めて牛を殺すことになる」と述べ、労働時間規制の議論ばかりが先行しないよう求めた。