近年,脊椎変性疾患への脊椎固定(椎体間固定)においては,脊椎インスツルメント,椎体間ケージ,人工骨などの著しい進歩や副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)製剤など骨癒合促進薬の出現により,脊椎固定術の基本であった十分な量の自家骨移植と移植母床作成の重要性が希薄になってきているように感じます。特に最近急速に普及してきている正側方腰椎椎体間固定術(extreme lateral interbody fusion:XLIF)や斜め側方腰椎椎体間固定術(oblique lateral interbody fusion:OLIF)などの側方経路腰椎椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion:LIF)と経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw:PPS)による脊椎固定で他家骨を用いない場合,移植骨不足や採骨が大きな問題です。人工骨のみでの骨癒合率はどの程度でしょうか。関西医科大学・齋藤貴徳先生にご回答をお願いします。
【質問者】
阿部栄二 秋田厚生医療センター名誉院長
後方腰椎椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion:PLIF)は,後方から椎体間にアプローチし,多量の骨を骨盤より採骨し十分な軸圧に耐えうる形(直方体)に形成し前方の椎体間に充塡することにより,stand aloneで骨癒合を図る手技としてClowardが開発した手技です。
その後,ケージ(椎体間スペーサー),椎弓根スクリューが出現し,飛躍的に骨癒合率が向上しました。この2つのデバイスの進化により,その後出現した経椎間孔椎体間固定術(transforaminal lumbar interbody fusion:TLIF)においては,斜めに1つのケージを挿入するのみでも同等の骨癒合率が得られることが報告されています。しかし,外側腰椎椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion:LLIF)ではケージそのものが大きく,周辺のrimにかかる状態で挿入することが可能となり,また,側方からの椎間板および軟骨性終板の郭清操作により,さらに椎体間の骨癒合に関し有利な状況が生まれています。
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