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患者に寄り添う医療とは[お茶の水だより]

No.4883 (2017年11月25日発行) P.16

登録日: 2017-11-22

最終更新日: 2017-11-22

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▶次期診療報酬改定で、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」に対する訪問看護の評価を充実する方針が固まった。医療の進歩により重い病気の新生児が助かる確率は高まっており、19歳以下の医療的ケア児は約1万7000人。この10年間で約2倍に増えている。診療報酬の見直しは、医療的ケア児や家族が、自宅で安心して暮らせるような体制の整備が狙いだ。
▶医療的ケア児には、医療機器などのケアは必要とするものの歩行可能で知的障害がない児もいる。そこで政府は、『日本再興戦略2016』で医療的ケア児が義務教育を十分に受けられる機会を保障するため、学校など自宅以外での看護が可能となるよう検討・結論を得ることを求めている。しかし、学校への看護師配置事業として文部科学省が18年度概算要求に計上したのは特別支援学校と一般の小・中学校合わせて約10億円。前年度より2億円以上上乗せしたが、十分とは言えない。
▶15日の中央社会保険医療協議会では、学校での医療的ケアが円滑かつ安全に実施されるよう、訪問看護ステーションが学校と連携した場合の評価が論点となった。学校でのケアは医療保険でカバーすべき問題ではないとの指摘はもっともだが、厚生労働省保険局の迫井正深医療課長は、「現実に悩みを抱える方に医療がどう寄り添うか。文科省で対策の検討が進んでいるが、人材確保では厚労省にノウハウがある。給付だけではなく医療で何ができるか考えたい」と強調した。
▶財源が厳しい中、すべてを手厚くすることは不可能だ。ただ、悩みを抱える人を真摯に慮った「医療で何かできないか」という思いこそが、患者に寄り添う医療の原点となるのではないだろうか。

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