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非小細胞肺癌の術後再発への対策 【進行肺癌に対する治療に準じて免疫チェックポイント阻害薬を含めて施行】

No.4888 (2017年12月30日発行) P.57

近藤展行 (兵庫医科大学呼吸器外科講師)

登録日: 2017-12-31

最終更新日: 2017-12-22

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肺癌の術後再発率は,他の臓器の固形癌に比べて高い。細胞間接着を乗り越えて血行性転移を起こしやすい1)という肺癌の腫瘍特性が一因である。進行症例が多いことも,非小細胞肺癌の術後成績が不良な原因のひとつである。

病期に応じて,術後化学療法が行われる。たとえば,ⅠB期の非小細胞肺癌には,テガフール・ウラシル配合錠,それ以降の病期に対しては,シスプラチン併用化学療法が勧められる2)。海外のデータでは,生命予後への一定の貢献が示され,再発率低減に寄与すると考えられる3)

術後再発が判明した場合の治療は,進行肺癌に対する治療のエビデンスに準じて施行される。少し前にEGFR変異,EML4-ALK融合遺伝子に代表される,腫瘍の遺伝子背景に基づく分子標的薬治療の優位性が明らかとなり,2010年のガイドラインに反映された。最近では,14年以降に承認されたニボルマブ,ペムブロリズマブに代表される免疫チェックポイント阻害薬の登場でガイドラインは大きく書き換えられ,肺癌治療の常識はめまぐるしく様変わりしている。

ここで,播種,リンパ節腫大,他臓器転移には「再発」としての治療が当てはまるが,術後に生じた新たな肺結節は,異時多発性肺癌の可能性があることも忘れてはならない。この場合,外科治療にて長期生存が得られる。

【文献】

1) Perl AK, et al:Nature. 1998;392(6672):190-3.

2) 日本肺癌学会, 編:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン 2016年版. 金原出版, 2016.

3) NSCLC Meta-analyses Collaborative Group, et al:Lancet. 2010;375(9722):1267-77.

【解説】

近藤展行 兵庫医科大学呼吸器外科講師

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