【質問者】
山下芳典 呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部長/呼吸器外科科長
小型肺癌に対する区域切除術の適応を考える場合,従来から様々な検討が加えられてきた腫瘍学的特性と並んで,腫瘍の局在に注目する必要があります。その理由は,十分な切除マージンの確保を図りつつ肺機能を温存するという縮小手術の相反する目的を両立させる上で,腫瘍の局在は区域切除か楔状切除かという術式選択以上に重要と考えられるからです。
本稿では,腫瘍の局在を,担がん(切除)区域の局在と担がん区域内での腫瘍の位置関係の2段構えで考えてみます。
筆者らが以前行った,画像的に浸潤癌と診断される小型肺癌を対象とした積極的区域切除術に関する検討では,日常臨床で施行する機会の多いS6切除術と左上葉の上大区や舌区切除術は局所再発の頻度が低く,予後も肺葉切除術に比べて遜色ありませんでした。一方,右上葉や肺底区の選択的区域切除術は局所再発の頻度が高く,予後も肺葉切除術に劣っていました1)。右上葉で局所再発が多かった理由として,直感的には3区域しかないため切除マージンが小さくなりがちであった可能性が考えられますが,肺底区についてはこれといった理由が思いつきません。
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