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肺癌に対する区域切除の際の区域間切離の考え方とコツ【担がん区域の局在と区域内の腫瘍の位置に注目し切除マージンの確保と肺機能温存に注力】

No.4890 (2018年01月13日発行) P.61

山下芳典 (呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部長/呼吸器外科科長)

西尾 渉 (兵庫県立がんセンター呼吸器外科部長)

登録日: 2018-01-16

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  • 近年,小型肺癌に対する積極的な区域切除が呼吸器外科の臨床に浸透してきました。しかも胸腔鏡下で行われる機会も増え,その方法論も議論されています。一方,区域切除は肺葉切除に比べ難易度が高く,区域切除による功罪を考慮しなければいけません。その際,区域切除の際の区域間切離に関する考え方や手技は重要なポイントです。切除区域の局在,腫瘍との位置関係,具体的な形成方法について,兵庫県立がんセンター・西尾 渉先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    山下芳典 呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部長/呼吸器外科科長


    【回答】

    小型肺癌に対する区域切除術の適応を考える場合,従来から様々な検討が加えられてきた腫瘍学的特性と並んで,腫瘍の局在に注目する必要があります。その理由は,十分な切除マージンの確保を図りつつ肺機能を温存するという縮小手術の相反する目的を両立させる上で,腫瘍の局在は区域切除か楔状切除かという術式選択以上に重要と考えられるからです。

    本稿では,腫瘍の局在を,担がん(切除)区域の局在と担がん区域内での腫瘍の位置関係の2段構えで考えてみます。

    筆者らが以前行った,画像的に浸潤癌と診断される小型肺癌を対象とした積極的区域切除術に関する検討では,日常臨床で施行する機会の多いS6切除術と左上葉の上大区や舌区切除術は局所再発の頻度が低く,予後も肺葉切除術に比べて遜色ありませんでした。一方,右上葉や肺底区の選択的区域切除術は局所再発の頻度が高く,予後も肺葉切除術に劣っていました1)。右上葉で局所再発が多かった理由として,直感的には3区域しかないため切除マージンが小さくなりがちであった可能性が考えられますが,肺底区についてはこれといった理由が思いつきません。

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