厚生労働省の先進医療会議は11日、2018年度診療報酬改定に向けて、先進医療技術の保険導入に関する議論を行った。内視鏡下手術用ロボット(ダヴィンチ)を用いた腹腔鏡下胃切除術について「十分な科学的根拠を有する」と判断したものの、委員からは保険導入への懸念が相次いだ。
先進医療は、将来的な保険導入の評価を行うために保険診療との併用を認める制度。通常の治療と共通する部分の費用は一般の保険診療と同様に扱われるが、先進医療にかかる費用は患者の自己負担となる。
11日の会議では、ダヴィンチを用いた腹腔鏡下胃切除術など7技術が「十分な科学的根拠がある」との評価に至った。7技術は、今月中に開かれる中央社会保険医療協議会で最終的な保険導入の可否が検討され、保険導入が適当と判断されれば2018年度から保険収載される。
同会議で科学的根拠を有すると判断されたことで、保険収載に向けて一歩前進したが、委員からは懸念が相次いだ。
石川広己構成員(日本医師会)は「中医協で議論する際に、先進医療会議の意見として『十分な科学的根拠がある』だけでいいのか。(ダヴィンチ手術は)費用が高額で、保険収載されれば医療保険財政への強い影響は免れない」と指摘。他の委員からは、科学的根拠の解釈について「ダヴィンチはがん治療の有効性の評価はしておらず、安全性の評価しかしていないことを(中医協に)伝えてほしい」「ダヴィンチの安全性は、その道のプロがダヴィンチの良さを捻り出すために設定されたエンドポイントの評価。これが医学的にどれくらいの価値があるのかを(中医協で)議論してほしい」などと慎重な検討を求める意見が相次いだ。
これを受けて厚労省は、中医協で議論する際に先進医療会議で出された懸念事項を伝える考えを示した。