放射線性腸炎は,放射線治療の照射範囲に隣接ないし包含される腸管に生じる有害事象である。発症時期により照射中~数カ月以内の早期障害と,照射後半年~1年以降に起こる晩期障害にわけられる。早期障害は可逆性であるのに対し,晩期障害でみられる出血は,慢性貧血の原因となったり生活の質を低下させたりすることがある。
放射線治療の照射方法および最終照射日から血便発症までの時期により,疾患を予測し,大腸内視鏡検査に基づく診断を行い重症度を把握する。代表的な内視鏡所見は,異所性(粘膜表面)に新生した拡張血管であり,時にびらんや潰瘍を伴う。腸管壁は脆弱であるため不要な生検は避けるべきである。より重症例では,狭窄または深い潰瘍からの腸管穿孔,隣接臓器との瘻孔形成に及ぶものもある。
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